2025年6月、改正労働施策総合推進法が成立し、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止は今後すべての企業にとって法的義務へと変わる見通しとなりました。全国一律の義務化は2026年中に施行される予定です。
厚生労働省の発表によれば、2024年度の精神障害による労災認定は1,055件と過去最多を更新し、そのうちカスハラが原因の認定件数も108件と、前年の約2倍に急増しています。カスハラは現在、パワハラや仕事内容の変化に次ぐ大きな労災原因となっています。
企業には従業員を安全に就労させる安全配慮義務があり、外部からの迷惑行為を放置すれば、離職・訴訟・信用失墜など様々なリスクを招きかねません。今後、厚生労働省から具体的な指針やガイドラインが示される予定ですが、企業として今からできる対策に取り組むことが重要です。
たとえば、
会社としてのカスハラ防止方針を定めて公表する
報告相談体制・マニュアルの整備をする
被害発生時の対応をシミュレーションや研修を通じて、実際に備える
などが挙げられます。
従業員は「会社に迷惑をかけられない」「顧客に寄り添いたい」という思いを持ちながらも、理不尽な要求との板挟みで心身をすり減らすこともあります。企業側としても、顧客の意見を大切にしつつ、理不尽な要求からは従業員を守りたいと考えているはずです。施行は来年の予定ですが、今のうちからできることを進め、従業員が安心して働ける職場づくりに努めることが大切です。
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)