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最低賃金の上昇が・・・

毎年10月頃になると最低賃金の改定で頭を抱える経営者も多いのではないでしょうか?

福岡県では今年10月から最低賃金は900円となりました。改定前の870円から実に30円UPとなります。

ちなみに20年前(2002年)の最低賃金は643円です。以降2003年に1円UP、2004年も1円UP程度のものでした。しかし、最近ではコロナ直撃の2020年を除き、毎年ほぼ3%上がってきており、企業によってはだんだんと無視できない上昇率になってきています。

とりわけパート、アルバイトの従業員が多い職種ではダイレクトに経費増大につながり、労務管理の視点を超えて、経営を左右するような大きな問題になってきます。

例えば月80時間働く50人のアルバイトの時給が30円UPしたなら、月に12万円の経費増につながります。場合によっては商品やサービスの価格を見直すことも必要になり、最低賃金の引上げは企業によっては労務管理の視点に収まらず、経営課題の一つになるでしょう。

政府は早期に全国加重平均1,000円以上を目指す方針であり、今後もこのペースであがっていくことを覚悟しておかなければなりません。

最低賃金はアルバイト、パートに限らず正社員にも適用されるルールですが、この賃金水準で働いている雇用形態はやはりアルバイト、パートなどの短時間労働者の割合が多いものです。

この短時間労働者に関わる話ですが、同じく今年10月からは常時100人を超える事業所はアルバイト、パートでも社会保険に入る義務が生じ、適用が拡大されています。
さらに再来年の令和6年10月には、常時50人を超える事業所に対しても適用が拡大される予定です。
社会保険も人件費の一部であり、その負担は会社と本人で折半して負担しますが、会社負担だけで見ても約15%経費増となってきます。

加えて言えば、働き方改革の一環から非正規社員の不合理な待遇格差の解消という目的で同一労働同一賃金の取組がスタートしています。
正規社員と非正規社員の不合理な待遇差の解消とは言っているものの、正社員の従来の待遇を引き下げることは合意を得ることが難しく、
結果的に非正規社員の待遇を向上させることになるでしょう。
社会保険適用拡大の点からも、さらに企業の負担は増えてきそうです。

働き方改革関連法施行の背景の一つに労働力人口の減少がありますが、そもそもこの労働市場を眺めてみれば、供給が減少していく傾向にあり、
供給の減少が価格(つまり賃金)の上昇につながることは自明であるだけでなく、この流れが急に大きく変化することは考えられません。
人口構造は急に変化することはなく、仮に今すぐ少子化の流れが解消したとしても、今の子供が成人して労働力になるには20年は要するからです。

人口の減少というのは、国内市場が縮小して、売上が延ばしづらくなるだけでなく、人材の確保の重要性が増すことを意味しています。
経営の視点から労務の重要性はますます高まってくるでしょう。働き方改革という法律があるから、職場改善に取り組むのではなく、
より積極的に職場改善に取り組むことは、永続的な企業を作っていくために重要なテーマになってくるように感じます。

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