2024年11月から「フリーランス新法」がスタート
2024年11月から特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、いわゆる「フリーランス新法」が施行されます。この法律は、従業員のいない「個人事業主や一人社長法人」(特定受託事業者)を対象とし、発注側企業に公正な取引を求めるものです。これにより、契約内容や報酬支払いの条件が見直され、フリーランスが安心して働ける環境を整えようという狙いがあります。
フリーランス新法が必要とされる背景
フリーランスが増えている背景には、企業が労働者を雇う際の解雇規制や社会保険料負担の増大といった課題があります。しかし、自由な働き方を選んだフリーランスの多くが、報酬支払いの遅延や一方的な契約解除といったリスクを負うことが少なくありません。この新法は、フリーランスがより公正で安定した取引環境を享受できるよう、契約や報酬の透明性を高めることを目指しています。
新法のポイントと中小企業に求められる対応
1. 取引条件の明示
新法では、発注者側が契約の内容や報酬の詳細を書面または電子で明示する義務があります。取引条件を明確にすることで、フリーランスが安心して仕事に取り組める環境を提供し、企業にとっても契約上のトラブルを未然に防ぐ手段となるでしょう。
2. 報酬支払期日
フリーランスに支払う報酬は、業務完了後60日以内に支払うのが原則です。また、再委託のような取引の場合には、支払い期日を30日以内に設定する必要があります。ちなみに、意外に思われるかもしれませんが、労働者への給与支払いには支払期日の制約はないんです。
3. 育児・介護との両立配慮
6か月以上の業務委託契約では、フリーランス側からの育児や介護との両立について申し出がある場合、必要な配慮をしなければなりません。労働者についても、近年、育児・介護の法令改正は重なっていますが、フリーランスにおいても同様に配慮が必要です。
4. ハラスメント防止
企業は、ハラスメントを防ぐための体制を整備し、フリーランスからの相談対応や就業環境の改善に努める必要があります。従業員と同様、フリーランスもハラスメントから守る姿勢が企業には求められます。
フリーランスと労働者
フリーランスと労働者では全く適用される法律が異なります。フリーランスであれば、厳しい解雇規制もなく、労災保険もなく、社会保険料の会社負担もなく、依頼する会社としては、楽に感じる面も少なくありません。一方働き方から見てみると、労働者と大きな差がなく映る面もあり、今回の法律施行による保護が必要だとも感じます。
法令が制定されると、「いつまでに何をしないといけないか?罰則はあるのか?」という点に注意が向きがちですが、その背景にも目を向けていくことも重要です。これから労働者かフリーランスかに関係なく、対等で公正な取引と信頼関係の構築を目指すことが、企業に求められる姿勢といえるでしょう。
参考サイト
新法施行に備えた実務対応については以下の公的サイトが参考になります。契約条件や報酬支払、ハラスメント防止体制などをこの機会に見直してみてください。