会社の人事・労務管理において、給与や手当が変わる際に注意すべき「随時改定」。特に、マイカー通勤している従業員に支給する通勤手当で、ガソリン代の単価を見直す際は、随時改定の要件に該当する可能性があり、注意が必要です。
1. 随時改定とは?
社会保険料は、通常、4月から6月の給与をもとに1年間の標準報酬月額を決定しますが、給与に大幅な変動があった場合には「随時改定」という手続きで標準報酬月額を改定します。特に、固定的賃金の変動があるときは注意が必要で、通勤手当もその一つです。
【随時改定の3つの条件】
(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
(2)変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(3)3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。
2. マイカー通勤手当の随時改定のポイント
マイカー通勤の通勤手当を支給する場合、特に気をつけたいのがガソリン代です。会社によっては、ガソリン代の変動を考慮し、その月ごとのガソリン価格を反映させて支給するケースがありますが、このやり方には注意が必要です。
通勤手当の単価が毎月変わる場合、その変動は「固定的賃金の変動」とみなされ、随時改定の対象となります。つまり、毎月異なるガソリン価格で通勤手当を計算し、従業員に支給する場合、手当が変わるたびに随時改定が必要になる可能性がでてきます。
3. 出勤日数による通勤手当の変動は問題なし
一方で、マイカー通勤手当の総額が「出勤日数」によって変わるケースもあります。たとえば、出勤日が増えれば手当が増え、逆に出勤日が減れば手当が少なくなるといった場合です。このような場合は、手当の「単価」自体が変わるわけではないため、随時改定の対象にはなりません。
随時改定が必要かどうかを判断するうえで重要なのは、通勤手当の「単価」そのものが変動しているかどうかです。手当の単価が毎月変わると、随時改定の対象になる可能性が高いことを覚えておきましょう。もちろん、これが毎月ではなく3カ月おきだとしても、3カ月おきに随時改定の注意が必要になります。
4. まとめ
ガソリン価格は政治情勢や為替の影響から、大きく変動しがちですから、通勤手当にも実情に沿った改定を行いたいところですが、社会保険の手続きのことも考慮する必要があります。毎月単価を見直している場合は要注意ですね!会社として、正しい給与計算や随時改定を行うことで、従業員の社会保険料の計算ミスを防ぎましょう。
間違いやすいポイントをしっかり押さえて、随時改定の手続きに備えてくださいね。