「パートさんは社会保険の対象外だから」そうお考えの事業主の方もいらっしゃるかもしれませんが、制度は時代とともに変化しています。
今後、企業規模にかかわらず、一定の条件を満たしたパート・アルバイトの方が社会保険の加入対象となる時代がやってきます。
■ 短時間労働者(パート等)の社会保険適用要件
現行制度では、以下の要件すべてを満たすパート・アルバイトは、社会保険の加入対象(被保険者)となります。
1.週の所定労働時間が 20時間以上
2.月額賃金が 88,000円以上(年収目安 約106万円)
3.学生でない
そして、もう一つのポイントが特定適用事業所で勤務していることです。
■ 特定適用事業所の「規模要件」が段階的に撤廃
現在は、被保険者51人以上の事業所(特定適用事業所)に限り、パート等の社会保険加入が義務化されています。しかし、今後はこの「規模要件」が段階的に緩和され、最終的にはすべての企業が対象となる見込みです。
(2016年)平成28年10月~ 従業員数 501人以上
(2022年)令和4年10月~ 従業員数 101人以上
(2024年)令和6年10月~ 従業員数 51人以上
▲改正経緯
(2025年)令和7年 現在
▼ 適用拡大スケジュール(予定)
(2027年)令和9年10月~ 従業員数 36人以上
(2029年)令和11年10月~ 従業員数 21人以上
(2032年)令和14年10月~ 従業員数 11人以上
(2035年)令和17年10月~ 企業規模の要件を撤廃
■ 最後に
「うちは人数が少ないから」という企業も、数年後には確実に影響を受けます。
完全撤廃を予定する2035年ごろには最低賃金も1500円程度になっており、人件費の問題、また人手不足対策はいよいよ重要性を増していることでしょう。働きやすい環境づくりや雇用安定を図る観点からも、職場の見直しは避けて通れません。
この制度改正を「義務」として受け止めるだけでなく、職場環境改善の機会として捉えていただければ幸いです。