企業に求められる努力義務と実践ポイント
◆ 治療と仕事の両立支援とは
現代の職場では、がんや心疾患などの病気を抱えながら働く人が増えています。企業には「治療と仕事の両立支援」を行う努力義務があり、従業員が安心して治療と就労を両立できる環境づくりが求められています。これは単なる福利厚生ではなく、企業の持続的成長や人材確保にも直結する経営課題です。
◆ 両立支援による職場のメリット
- 病気による離職を防ぎ、経験豊富な人材を活かせる
- 従業員満足度・企業イメージの向上
- 生産性や業績向上への効果
- 健康経営・人的資本経営の推進
◆ 対象となる疾病
・がん ・脳卒中 ・心疾患 ・糖尿病 ・肝炎 ・難病 など
※インフルエンザなど短期で治癒する疾病は対象外
◆ 両立支援の進め方と制度設計
① 基本方針と体制づくり
・「治療と仕事の両立支援」を会社方針として明確化・周知
・病気を理由とした不当な差別の禁止を明示
・プライバシーに配慮した相談窓口の設置
② 制度・勤務体制の整備
治療内容や勤務制限に応じ、柔軟な勤務制度を導入します。
◆ 休暇制度
・時間単位の年次有給休暇
・傷病休暇・病気休暇
◆ 勤務制度
・時差出勤制度
・独自の短時間勤務制度(育児・介護とは別枠)
・在宅勤務(テレワーク)
・試し出勤制度(復職支援の一環)
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、長期間にわたり休業していた労働者に対し、円滑な復職を支援するため勤務時間や勤務日数を短縮した試し出勤等を行うことで、不安などを解消する。
上記の体制はガイドラインによるものですが、それぞれの会社の実情や体力に応じて追加の制度を新設するかなど考えていくことになります。
③ 両立支援の運用
- 労働者からの申出を受け、プライバシーに配慮した面談を実施
- 主治医の意見書などを参考に「両立支援プラン」を策定 (本人の希望や不安などの聞き取り)
- 会社の方針・労働環境に応じた継続雇用の方法を検討
- 必要に応じて就業規則や休職規定の見直し
参考:厚生労働省「治療と仕事の両立支援ナビ」
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/
まとめ
「治療と仕事の両立支援」は、単に制度を整えることではなく、従業員を大切にする企業文化の醸成でもあります。
人と組織が共に健康で働ける環境づくりは、これからの時代の企業価値向上の鍵となるでしょう。
それから、申出に対して全て受け入れる必要はなく、会社の体力や方針を考慮し継続的に許容できる程度を考えながら、継続雇用できる道を模索していくことが重要となります。