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正当なクレームとカスハラの違いはどこにある?現場のモヤモヤをほどく2つの視点

正当なクレームとカスハラの違いはどこにある?現場のモヤモヤをほどく2つの視点

2026年10月から、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策は企業の義務になります。

このカスハラの相談が増えるなか、「これは正当なクレームなのか、それともカスハラなのか」という線引きに迷う場面が少なくありません。
厚生労働省や消費者庁は、カスハラを「顧客等からのクレーム・言動のうち、要求内容の妥当性に照らして、その要求を実現するための手段・態様が社会通念上不当であり、その結果として労働者の就業環境が害されるもの」と説明しています。

ここから分かるのは、①要求内容(何を求めているか)と、②手段・態様(どんな言い方・振る舞い方か)の2つを分けて考える視点です。
例えば、商品に明らかな不具合があり、交換や返金を求めること自体は「要求内容として正当なクレーム」です。
しかし、その伝え方が「土下座しろ」「お前の顔をネットに晒す」などの暴言・脅迫、長時間の拘束、大声で怒鳴り続けるといった手段であれば、手段・態様が社会通念上不相当であり、従業員の就業環境を害するカスハラになります。

逆に、要求内容そのものが明らかに不当な場合もあります。
事実無根の因縁で金銭を要求する、契約にない過剰なサービスを強要する、といったケースです。

このような要求内容は、内容の段階で社会通念上許容される範囲を超えており、言葉遣いが丁寧でもカスハラ(場合によっては恐喝や強要などの犯罪)と評価され得ます。

一方で、「正当なクレームは会社にとって宝物」であることも忘れてはいけません。
グッドマンの法則によれば、不満を感じた顧客のうち、苦情を申し立てる人はわずか4%、残りの96%は何も言わずに離れていきます。
何も言わずに去る顧客の再購入率が9%にとどまるのに対し、苦情を申し立てて迅速に解決された顧客の再購入率は82%、解決に満足した場合は54%に上るとされています。

不満を伝えてくれる顧客に真摯に対応できれば、むしろリピーター・ファンになってもらえる可能性が高い、ということです。

だからこそ、「正当なクレームはきちんと受け止めて改善につなげる」「一線を越えたカスハラには、組織として線を引く」という二つの対応が必要になります。
現場の担当者がその場で一人で決める必要はありません。カスハラが疑われる場面では、要求内容と振る舞い方の両方を記録し、上司や相談窓口にエスカレーションして、組織として判断する仕組みを整えることが重要です。

「内容」と「言い方」の両方を見ながら、クレームは宝として活かし、カスハラには線を引く。
その視点を持つことが、従業員を守りながら顧客との関係を育てていく、これからのカスハラ対策の土台になっていきます。

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