令和6年度(2024年)の地域別最低賃金 答申状況
厚生労働省は、全ての都道府県で令和6年度の地域別最低賃金の改定額が答申されたことを発表しました。今回の答申では、全国加重平均額が昨年度から51円引き上げられ、1,055円となっています。この引き上げ額は、昭和53年度に目安制度が始まって以来、最高額です。都道府県別の引き上げ幅は50円から84円の間で、最高額は1,163円、最低額は951円とされました。(令和6年度 地域別最低賃金 答申状況)
最賃アップで経営もあっぷあっぷ!?
毎年この時期になると、経営者との間で「今年も最低賃金がかなり上がるね」という会話が繰り返され、感覚が麻痺してきたように感じます。10年前から同じような話をしてきましたが、その深刻さは年々増しています。
私が関わる多くの企業でも、最低賃金の引き上げに伴って賃金改定を行うケースが増えています。法定の最低賃金が自社の最低賃金を上回ると、企業は毎年10月に従業員の給与を改定しなければならなくなります。最低賃金はその地域の最低時給額を示すものですが、まるで水かさが増して水底に足が届かなくなっている企業が増えているのです。経営者は息苦しい思いをしながら、なんとか経営を続けている状況です。
全国の最低賃金改定の発表に合わせて「影響率」も公表されています。これは、最低賃金額の改正後にその金額を下回る労働者の割合を示すものです。この割合も年々増加しており、10年前の平成26年では7.3%だったのが、現在では21.6%にまで増加しています。コロナ禍で小休止したものの、それを除けば毎年増え続けています。
これまで最低賃金の上昇をどこか他人事のように感じていた企業も、今ではそれが企業経営の重要な課題の一つになっています。さらに、2030年代半ばまでに全国加重平均1500円を目指すと明言されています。時給1500円は月給に換算すれば約24万円です。これは政策による目標であり、変更の可能性もありますが、一部の野党は現在の上昇ペースでは不十分だと指摘しており、今後の動向は不透明です。
いずれにせよ、この流れは続くでしょう。そのため、賃上げの課題は経営の一つの軸として捉え、最低賃金の引き上げを機に、自社の給与体系や職場づくりのあり方を見直すことが求められます。