社会保険の手続きは、年齢の節目ごとに重要な変更が発生します。特に40歳、65歳、70歳、75歳は見落としが起こりやすいポイントであるため、あらかじめ整理しておくことが大切です。
【40歳到達時(介護保険料開始)】
40歳になると、健康保険料に加えて介護保険料の徴収が開始されます。介護保険の第2号被保険者に該当し、「40歳に到達した月(誕生日の前日が属する月)」から対象となります。
実務上は、当月分の保険料を翌月給与で控除するケースが一般的なため、給与計算のタイミングとのズレに注意が必要です。標準報酬月額に基づき介護保険料率が正しく適用されているか、給与ソフトの設定も含めて確認しておくと安心です。なお、月途中の入社・退職者については個別に確認が必要です。
【65歳到達時(介護保険・雇用保険)】
65歳になると、介護保険は市区町村が運営する第1号被保険者へ移行します。保険料は、一定の条件(年金額など)を満たす場合は年金からの天引き(特別徴収)、それ以外は納付書や口座振替による支払い(普通徴収)となります。65歳以降は、健康保険(協会けんぽや健保組合)に継続加入している場合であっても、介護保険料が給与から徴収されることはありません。したがって、会社による給与控除は行われなくなる点に注意が必要です。実務上は、控除停止のタイミングや本人への案内を適切に行うことが重要です。
雇用保険については、65歳以降も加入は継続され、「高年齢被保険者」として取り扱われます。離職時には離職票の発行が必要となり、高年齢求職者給付金の対象となるかを確認します。
【70歳到達時(厚生年金資格喪失)】
70歳になると、厚生年金保険の被保険者資格は喪失します。事業主は「厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所へ提出します。
ただし、70歳以降も引き続き勤務している場合は、「70歳以上被用者該当届」の提出が必要です。これにより、報酬額の届出が継続され、在職老齢年金の支給調整や定時改定などに影響します。提出漏れがないよう注意が必要です。
【75歳到達時(後期高齢者医療への移行)】
75歳になると後期高齢者医療制度へ移行し、健康保険の資格は喪失します。会社は「健康保険被保険者資格喪失届」を提出し、被保険者証の回収を行います。
後期高齢者医療の資格取得手続きは自治体側で行われ、保険証(または資格確認書等)は本人へ直接交付されます。保険料の支払い方法は、年金からの天引きまたは納付書等による支払いとなるため、事前に案内しておくとトラブル防止につながります。
また、被扶養者として加入していた家族がいる場合は、資格喪失後の加入先(国民健康保険等)についても案内が必要です。