「雇入れ時健康診断」は、常時使用する労働者を新たに雇うときに、事業者が実施しなければならない法定の健康診断です。
労働安全衛生規則第43条に根拠があり、実施しない場合は労働安全衛生法第120条により罰則(50万円以下の罰金)の対象となる可能性があります。
入社時健康診断が「必要になる」従業員
入社時健康診断のポイントは、「常時使用する労働者かどうか」です。
◆ 正社員
試用期間中でも、解雇前提の臨時雇用でない限り「常時使用」に該当し、健診は必須です。
◆ 契約社員
雇用期間が無期、または更新により1年以上継続する見込みがある。
所定労働時間が同種業務の正社員の概ね4分の3以上
(例:正社員週40時間に対して週30時間以上)。
◆ パート・アルバイト
上記2条件(1年以上継続見込み+4分の3以上の労働時間)を満たす場合は「常時使用」となり、
入社時健康診断の実施義務が生じます。
健診義務が「ない(または努力義務)」ケース
雇用期間が1年未満で、更新によって1年以上継続する見込みもない短期雇用者。
所定労働時間が正社員の4分の3未満の短時間パート・アルバイト(この場合は努力義務)。
派遣社員の場合:雇入れ時健康診断の実施義務者は派遣元(派遣会社)であり、派遣先企業は結果の
提供を受ける立場です。
入社時健康診断の実施時期と代用の可否
人事担当者が悩みやすいのが、「いつまでに受けさせればよいのか」「入社前の健診で代用できるか」という点です。
★ 実施時期の目安
法令上は「雇い入れの際」に実施することとされており、できるだけ入社に近い時期に行うことが望ましいとされています。
実務上は、入社前3か月以内〜入社後1か月程度までに実施していれば妥当とされるケースが多いです。
過去の健康診断で代用できる場合
以下2点を満たす場合、過去の健康診断結果を雇入れ時健康診断として代用可能です。
入社前、おおよそ3か月以内に受診している。
法定11項目(既往歴、自覚症状及び他覚症状の有無、身長・体重・視力・聴力、胸部X線、血圧、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査、心電図)をすべて含む健診であること。
社員から健康診断書を提出してもらう際は、「実施日」と「検査項目」を確認し、法定項目を満たしているかチェックする運用が重要です。
費用負担・結果の保管と実務上の注意点
・・・ 費用負担は誰?
雇入れ時健康診断は事業者の義務であり、原則として事業者負担で実施することが望ましいとされています。
応募者・内定者本人に負担させる場合、採用活動上の不利益やトラブルの原因となるため慎重な検討が必要です。
結果の保管・活用
健康診断個人票は5年間の保存義務があります。
健診結果をもとに就業上の措置(配置等の配慮・時間外労働の制限など)を検討することが、企業の安全配慮義務を果たすうえでも重要です。