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予想外に高い労働保険料の謎を解明!~賃金が1.5倍増なのに保険料が2倍になる理由~

予想外に高い労働保険料の謎を解明!~賃金が1.5倍増なのに保険料が2倍になる理由~

労働保険料の計算がなぜ予想外に高額になるのか、事業主や経理担当者が頭を悩ませる問題です。保険料率が変わったわけでもないのに、賃金の増額以上に保険料が多くなることは、不思議に感じるかもしれませんね。この記事では、労働保険料が予想以上に高くなる理由について、詳しく解説します。

労働保険料のキホン

労働保険料は、労災保険料と雇用保険料から構成されます。労働者が仕事中にけがをしたり、失業したりして困った場合に支援するための公的制度です。

労働保険は労災保険と雇用保険の総称

労働保険料の計算方法は?

労働保険料の計算は、賃金総額に保険料率を乗じて求めます。保険料率は事業の種類により異なり、また労災保険の対象者と雇用保険の対象者が異なる場合は、それぞれに計算することになります。今回はわかりやすくするために、労働保険料にまとめて考えていきましょう。

労働保険料 = 賃金総額 × 保険料率

概算保険料と確定保険料

今回の謎解きのカギともなりますが、確定保険料と概算保険料についてみてみましょう。

労働保険料の納付額は確定保険料と概算保険料の合計額で求められます。

【確定保険料】 去年の賃金額をもとに「確定」させた保険料です。去年も「概算」保険料を納付しているので、差額が生じます。その生じた過不足は今年の概算保険料で調整されます。

【概算保険料】 今年の賃金総額の見込み額に保険料率を乗じて計算される、文字通り「概算」で求める保険料です。

 労働保険料 = 確定保険料 -(去年の)概算保険料 + (今年の)概算保険料

なぜ保険料が増加するのか?

≪通常のケース≫

大きく社員の増減がない限り、賃金総額はあまり変化はありませんから、仮にここ数年同じ賃金総額を支払っている会社のケースをまず見てみましょう。

ある会社が令和5年度に賃金総額1000万円を支払ったとします。

この場合の令和5年度の確定保険料は以下の通りです。

確定保険料 = 賃金総額 × 保険料率

185,000円 = 1000万円 × 18.5/1000

続いて、令和6年度の概算保険料はというと、令和5年度の賃金総額を参考に計算されますから、以下の通り同額となります。

概算保険料 = 賃金総額 × 保険料率

185,000円 = 1000万円 × 18.5/1000

以上の内容から、支払う労働保険料は以下の通りとなります。

労働保険料 = 確定保険料 - (去年の)概算保険料 + (今年の)概算保険料

185,000円 = 185,000円 - 185,000円 + 185,000円

≪賃金総額が1.5倍になったケース≫

業績も好調で人手を増やした結果、令和5年度の賃金総額が1.5倍の1500万円に増加した場合を、次にみてみましょう。

この場合の令和5年度の確定保険料は以下の通りです。

確定保険料 = 賃金総額 × 保険料率

277,500円 = 1500万円 × 18.5/1000

たしかにこの時点では、≪通常のケース≫の保険料185,000円に対して、277,500円ですから、ちょうど1.5倍になりました。賃金が1.5倍なら、保険料も1.5倍で納得です。

去年、概算で納めた185,000円と比較して、92,500円分不足が生じていますので、こちらは上乗せで支払う必要があります。つまり、去年の納付額を1とすれば、不足の0.5を支払うことになります。

続いて、令和6年度の概算保険料はというと、令和5年度の賃金総額を参考に計算されますから、以下の通り1.5倍となります。

概算保険料 = 賃金総額 × 保険料率

277,500円 = 1500万円 × 18.5/1000

以上の内容から、支払う労働保険料は以下の通りとなります。

労働保険料 = 確定保険料 -(去年の)概算保険料 + (今年の)概算保険料

370,000円 = 277,500円 - 185,000円 + 277,500円

ということで去年納付した労働保険料185,000円の2倍にあたる370,000円になりました。

令和5年に収めた保険料を1とした場合、令和5年度分の不足0.5と、令和6年度分1.5を合わせて今回の納付額は2.0になるということでした。

まとめ

労働保険料が予想外に高額になる理由を理解することは、事業主や経理担当者にとって大切なポイントです。この記事では、労働保険料の計算方法と、なぜ想定外に増加するのかを解説しました。労働保険料は基本的に賃金総額に保険料率を掛けて算出されますが、賃金の変動が大きい場合、確定保険料だけでなく概算保険料もその分増額されるため、予想外に納付額が大きくなります。この情報を踏まえて事業主は適切な予算計画を立て、突然の財務負担に備えることができます。事業の健全な運営を支えるための一助となれば幸いです。

※今回はわかりやすくするため、正確さを欠く表現も含まれていること、ご了承ください。

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