結論
・法定健康診断の費用は、会社負担が原則。
・人間ドックなどのオプション検査や再検査は、会社が方針として「どこまで負担するか」を決めてよい領域です。
1.会社が負担すべき範囲
労働安全衛生法で義務付けられているのは、次のような「法定健診」です。
・雇入れ時健康診断
・年1回の定期健康診断
・深夜業従事者などの特殊健康診断
これらの費用は、厚労省の通達では「事業者が当然に負担すべきもの」とされています。
法定健診を従業員自己負担にするのは、基本的に望ましくありません。
2.会社が任意に決められる範囲
一方で、次のような検査は「法定外」のオプションです。
・脳ドック・がん検診
・人間ドックの追加項目
・健康診断後の再検査・精密検査
これらについて、会社負担の法的義務はなく、「どこまで負担するか」は会社の方針次第です。
定期健診(法定項目)の相場は、1人あたり概ね5,000〜15,000円程度といわれ、
・法定項目までは全額会社負担
・それを超える追加項目は自己負担
・または、オプションも含めて「合計○○円まで会社が補助」
といった形でルール化するケースが多く見られます。
3.オプションは「戦略領域」として設計する
オプション検査の負担は、次の3つの視点で設計すると整理しやすくなります。
・業種・年齢構成・健康リスク
・健康経営としてどこまで打ち出したいか
・福利厚生としての公平性・税務上の妥当性
「すべて会社負担」にこだわるのではなく、会社の体力と方針に合わせて、重点的に支援する領域を決めるのが現実的です。
4.トラブル防止のためのルール化
方針を決めたら、
・就業規則
・人事労務規程
・健康診断実施要領(社内マニュアル)
などに、
・会社負担の対象となる健診
・上限額
・オプション・再検査の扱い
を明文化しておくことが重要です。
その場その場での判断は、不公平感や税務上の指摘につながりやすいため、最初にルールを決めておくことが経営者・人事の役割と言えます。
5.まとめ
・法定健診は原則会社負担で押さえる。
・オプション検査は「会社の戦略領域」として、無理のない範囲で設計する。
・方針を規程等に明文化し、運用のブレとトラブルを防ぐ。
この3点を押さえておくと、「健康診断費用はどこまで会社が負担すべきか」を、筋の通った形で説明・運用しやすくなります。